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本日もお着物の柄についてございます。
能などのストーリーが季節と強く関係を持っている場合には、
結果として植物がその季節を暗示している場合もございます
これに対して「源氏物語」から主題をとった模様は夕顔や藤、
「伊勢物語」の「八橋」に主題をとった杜若、
能の「石橋」にちなんだ牡丹などは逆に季節感とは距離をもつものと言えますね。
夏の着物は秋草にとともに松虫や蛍、紅葉や落ち葉などを表して
秋の風情を表現した模様や雪や氷をモチーフとする模様などが見られます。
これに関連して能装束に秋草の模様が非常に多くみられることにも注目です
女役の装束である唐織や縫箔には秋草の模様が多くみられますが、
これは能のストーリーの多くが秋の季節を舞台としているからというわけではありません
むしろストーリーのうら寂しさが同時に静かな美しさをもっており、
本質的に秋のイメージに近いものが多いということ、
それから芸能としての能が目指す「幽玄」という美意識に四季の中では
秋という季節が最も近いということが関係しているようです。
そこで、物語のイメージや能の美意識を表現するには、
秋草の衣装がふさわしいと考えられたのでわないかと・・・
日本には季節ごとのお祭りや儀式、習慣が数多く存在し
人々はこれらを生活の中に溶け込ませ日常に取り入れることにより、
生活にメリハリをつけ自然に感謝していたという背景もあります。
これらのイベントを社会や他の人々と共有するために、
その時節や季節を明確に感じさせる模様を衣服や染織品に表し使用したと考えられます。
手ぬぐいなども良い例かと思います
日本の染織に見られる四季の表現は実に複雑で多様なのです