日本も着物の柄についてでございますよ
日本の模様を海外のモチーフと比較するとき、
日本には外国には見ることのできない独自の意匠が
いくつもあることに気が付きます
それは外見上の面白さや美しさ、モチーフが固有にもつ意味や
内容を直接的に表現する模様ではなく、説話や物語、詩歌、
芸能などに主題を求め意匠化した模様でございす。
説話や文芸に主題をとるこの種の模様は日本の工芸意匠の中に
幅広く見られるものですがその歴史は中世にまで遡ると考えられております。
染織品においては詩歌を主題とするものが最も早く用いられ、
女性が執筆者だからでしょうか?!
平安後期に書かれた「栄花物語」の中にはすでに詩歌を意匠化した
衣服に関する記述がみられます。
現存するきもので詩歌の意匠を表すものとしては、
江戸時代初期の遠山記念館蔵「染分綸子地松青海波文字模様小袖」がもっとも早い例です。
綸子地を染め分け、縫い紋と鹿の子紋青海波と松が描かれています。
また物語を意匠化したものでは、これよりも前の桃山時代の能装束にその最初の例が見られます。
東京国立博物館蔵「紅白段短冊八橋草花模様縫箔」は、模様の一部に八橋と杜若を表した部分が見られ、
「伊勢物語」第九段の「三河の国、八橋といふところに」で始まる有名なくだりに
ちなんだ模様であることが分かります
このように日本の染織において伝統的意匠のひとつということができる文学的意匠が
最も盛んに用いられ、人々の衣服を飾ったのは江戸時代です。
この時代には「伊勢物語」では「八橋」がもっとも多く意匠化されまた少数ではありますが
「武蔵鐙」や「筒井筒」の模様も意匠化されています。
おはなの。
因みに八つ橋は池・小川などに、幅の狭い橋板を数枚、稲妻のような形につなぎかけた橋の事で
「武蔵鐙」は馬具で、「筒井筒」は丸い井戸の竹垣なんですって
お菓子の焼き八つ橋も橋板をモチーフにしているのかも?!
こちらが「武蔵鐙」馬具の一つで鞍の両側に垂らし、乗る人が足をかけるもののことです。
こちら武蔵鐙という野草です。
確かに形が似ておりますね
日本人て、なんでもモチーフにしてしまうんでございますね・・・