本日も着物の柄 第2弾でございます。
江戸時代から吉祥文様として意匠化されるようになったもので、御簾
几帳、檜扇、冊子、御所車などといった王朝風のモチーフがあります。
この時代、人々の間に古き良き時代としての平安時代への憧れが
生じたことで王朝時代へ連想されるモチーフが吉祥文様となったと予想できます。
宗教的な意味を持たず優雅で華やかなその文様は
婚礼の場でも用いられるようになりました。
一般的に日本人は四季の植物や動物、自然現象をモチーフにした
色や模様をその季節に合わせて使用していました。
例えば桃山時代には四季それぞれに属する植物が季節ごとにまとめられ、
取り混ぜられて一つの衣服や芸能衣装の上に施されます。
春に着る衣服だからと言って桜や蒲公英といった春の植物、
秋に着る衣装だと言って菊や紅葉だけが描かれているわけではありません。
むしろ、春と秋の植物に加えて百合や椿といった夏や冬の植物が
一緒にあらわされ四季全てのモチーフが一堂に取り揃えられるのが普通です。
「四季模様」とも呼ぶべきこれらは、小袖や打掛一般の衣装だけでなく、
能装束のような芸能衣装にも見られ、当時の人々がその文様に求めたもの
表現しようとしたものはそれぞれのモチーフがもつ季節感というよりは
自然のもつ生命力そのものではなかったと思われます。
勿論、中には1つないし2つの限られた植物が描かれたものもありますが、
季節感の表現というよりは、植物そのものの美しさや思想的背景が
関心の対象になって意匠化されていると考えられます。
江戸時代になると女性の衣服や芸能衣装などに四季の表現を意図する
植物模様が多くみられるようになります。
それでもすべてが「植物模様=季節感の表出」というわけではなく
季節感の表出とそれ以外の目的を併せもつ植物模様が多くなったと考えるべきです。
吉祥模様はその典型ですが「源氏物語」や「伊勢物語」、和漢の詩歌のような文学作品や能、
舞楽などの芸能を主題として内容を暗示する文様が施されている場合もあります。
何にせよ色々なお花が描かれている方がお着物は華やかでうつくしいものです。